地域おこし協力隊OB・OG紹介~津田祐介さん~
(道の駅センザキッチンで仙崎湾をバックにトゥクトゥクを運転する津田さん
一度目にすれば誰もが振り返ってみてしまうであろうTukTukキッチンカー
海をイメージしたポップなカラーの車体が目を引きます)
「人生を楽しみながら、まちや地域を元気にしたい」
津田 祐介さん 30代 東京都からIターン
TukTuk Cafe経営・ゆかい企画代表
津田さんが長門市に来るまで(移住の経緯)
津田さんは長門市のお隣・萩市で生まれ育ち、大学進学を機に北九州へ。その後、福岡県で建築関係の会社に就職し、東京へ異動しました。朝早く家を出て、夜遅く寝に帰るだけの生活を送っていた頃、海外出張先で仕事よりも家族や仲間を大事にする現地の人の働き方、暮らし方を見て、
「こういう働き方もありだな。人生において大事なことかもしれない。」
という思いを胸に帰国。自身の出身地である山口県で、
「自分が楽しいと思うことをやりたい!地域に貢献できるような仕事をしたい!」
と強く思い、転職を決意。求人サイトで地域おこし協力隊の存在を知り、商品開発やイベント企画など、自由度の高そうな募集要項に惹かれ、2015年、長門市で5人目となる地域おこし協力隊に着任しました。
シャボン玉おじさん
着任してすぐに、廃材アートのイベントを企画。イベントの中で子供達に向けて何かできないかという話になり、「じゃあ、シャボン玉やろうかな」というノリでやってみたところ、子供達がとても喜んでくれたこともあり、シャボン玉に目覚めたという津田さん。今では小道具なども自作し、「シャボン玉おじさん」としても活躍されています。2017年2018年には、友人のイタリア人パフォーマーを長門市に招き、シャボン玉公演を2回主催。今後、コロナ禍が落ち着けば3回目の公演も企画したいと意気込まれています。
時には「蔵人」
2017年には観光客向けの商品開発にも着手。
長門市では道の駅オープンの他、長門湯本温泉への星野リゾート進出、ラグビーW杯キャンプ地方誘致などに伴う賑わいもあり、商品開発をすべきタイミングと判断。たまたま同級生が酒蔵を復活させようという時期だったこともあり、一緒に作ることに。
そうして2018年、誕生したのが「純米大吟醸むかつく」です。長門市では、道の駅センザキッチン、油谷湾温泉ホテル楊貴館、宮田酒店で購入できる他、山口県内では原田商会(山口市)、中嶋酒店(周南市)などで手にすることが出来ます。最終的な味を決めるところは杜氏がやるものの、工程全般に関わらせてもらっていることもあり、
「自分の関わった商品が世に出るのは面白いです。」
と話され、毎年決まった時期に、山口県阿武町にある阿武の鶴酒造に通い「蔵人」として酒造りにも取り組まれています。
誰もやってないことをやる。 だから面白い。(TukTukCafeの始まり)
元々料理が好きで、協力隊時代イベントなどで飲食を担当することもあり、屋台があれば場所を選ばずに出店できるなと思っていた津田さん。また自作した屋台を長門市にオープンした「道の駅センザキッチン」に設置することで、活きたマーケティングができると感じ、2017年に初号機を製作。
「屋台で飲食業をやるっていうのはこの辺りではあまり無かったので。誰もやっていないようなことに燃えるんです。」
結局、移動が不便ということもあり、半年毎に計3台の屋台を製作(1号機サニーデイ、2号機クラウディ、3号機レイニー)。この頃から協力隊卒業後は、移動しやすく、販路も拡大できるように、『移動販売車』を使った飲食事業で生計を立てていこうと考えるようなり、県内で走っていないキッチンカーで起業したいと考えるように。ここでもやはり誰もやっていない事に挑戦したいという津田さんの闘争心が現れます。自身がインドに赴いた経験から、
「レトロな感じがして年配の人には懐かしがられ、若者には珍しがられるであろうトゥクトゥクでやったら面白そう。」
と、発案。ここからいよいよTukTukCafe開業物語が始まっていきます。
トゥクトゥクで移動販売車をやりたい!
協力隊退任後、屋台飲食販売やイベントコンサル業で収入を確保しながら、自作の屋台製作から4台目となるトゥクトゥクを、道の駅センザキッチンとの相性も良さそうだということで採用を決定し、県内で初めてとなるトゥクトゥクを使った移動販売車事業に着手するも、新たに何かを始める上での法律の壁は高く、一時はトゥクトゥクでの移動販売は無理かもしれないと諦めかけたそう。
そんな時、協力隊時代にお世話になった行政の方をはじめ、長門商工会議所、ながと大津商工会、中山間移住創業支援チームなど沢山の方々の働きかけ、協力があり、
「一人じゃない。みんなが応援してくれている!」
と、自身を奮い立たせ、諦めずに取り組んだ結果、2019年3月、山口県では初となるトゥクトゥクによるキッチンカー運営を始められることとなりました。
二人三脚で歩む
プライベートではTukTukキッチンカー運営を始めてから3ヶ月後の2019年6月に、以前よりお友達としてお付き合いをされていた、萩市出身の女性と結婚。キッチンカーの拠点である、道の駅センザキッチン近くの空き家にお引越し。
「今まで一人では出来なかったことにもチャレンジできるようになりました。これからもお互いに支えあって助け合いながら生きていきたいですね。」
と少し照れくさそうにお話してくださいました。
好奇心のまま自由に働く
TukTukキッチンカー運営を始めてから1年。移動販売は主に道の駅センザキッチンで観光客をターゲットにしていましたが、新型コロナウィルスの影響を受けてイベントの中止が相次ぎ、客数が減少していたこと、以前から移動販売は天候に左右されることも多く、拠点として店舗を構えることを考えていた津田さんは、地元のスーパーに出店したことをきっかけに、地元の人に向けて何か出来ないかと考え始めたそうです。移動販売だと、興味を持ってくれた方から『どこに行けばいいのか分からない』という声もあり、2020年夏、自宅の一部を自ら改装して、エスニック料理のテイクアウト専門店「TukTuk Cafe 隠れ家店」をオープンさせました。店舗では旅行先で出会った美味しい食べ物・飲み物(タピオカドリンクやタイカレー、ガパオライスなど)を提供されています。
「コロナ禍で旅行がしづらい状況なので、アジアの料理を食べて少しでも旅行気分を味わってほしい。市内にはエスニック料理のお店がなく、お客さんからは初めて食べたがとても美味しかったと言ってもらう事も多く、喜んでもらえて嬉しいです。」
と笑顔でお話ししてくださいました。
地域の人から愛されるお店にしたい
『田舎には、[自治会]という仕組みがあります。僕も入っているのですが、簡単に言うと自分の住んでいる地域を自分達の手で良くしていく為の活動になります。住んでいる地域によって若干異なりますが、僕が住んでいる自治会は、年に1度の清掃活動、お祭りやイベントの手伝い、親睦を深めるための地区の運動会への参加などになります。
自治会に入っていると、地域の情報・お知らせが回覧版で届くほか、住民同士の親睦を深めることもでき、コロナ禍で中々客足も伸びず、売り上げが落ち込んでいた時期もありましたが、地域の方々が気にかけてくれて、「どうかね~お客さん来とるかね~」「よ~け、こうちゃげよう(沢山、買ってあげよう)」と店舗に足を運んでくださいます。そういった皆さんのお気持ちがとても嬉しくて心強いです。最近では口コミで人気が広がり、デリバリーの注文も沢山頂いています。人と人とのつながり、温かさをしみじみ感じています。「ゆっくり座って、飲んだり食べたりしながら、お喋りできたらもっと嬉しい。」という常連のお客さまからの声もあり、時代の流れにあわせて行々は店舗の拡大(イートインスペースの設置)もできたらと考えています。』
店舗がオープンしてまだ半年ですが、津田さんのそういった思いが地元住民にも伝わり、地域の人に愛されているように感じました。
長門市の好きなところ
「海はもちろん好きですが、山も好きです。思い立ってすぐに釣りに行けるって最高じゃないですか?」
と話す津田さんはよく、自宅からすぐの海に行き釣りを楽しんでいるそうです。
「でも、山も好きなんです。山の静寂に包まれるあの時間、シーンとした森の中で目を閉じ、鳥のさえずりを聞き、木々の合間から降り注ぐ太陽の光を肌で感じるあの時間がたまりません。」
そんな山好きの津田さんは長門市に来てから、知人の誘いで狩猟も始められたそうで、今では狩猟免許を取得して、時々山に入りハンターにもなるそうです。
「田舎に来て知ったのですが、農業をされる方にとって”害獣”として駆除しないといけないほど、猪や鹿による獣害は深刻で、全国的にもその対策は課題となっているそうです。僕も少しでも力になれたらと思っています。獣を獲るだけに終わらず、ジビエとして美味しく、命を精一杯頂こうと思っています。将来的にお店の方で『長門のジビエカレー』なども出来たらいいなと考えています。」
長門市はまだまだこれから面白くなる!
長門市は「元乃隅神社」や、「海上アルプス青海島」をはじめ、有名な観光資源も多いのですが、まだあまり知られていない、魅力的な場所や、手つかずの自然も多く残っており、津田さんはそういった未発掘の長門市のいいところ、素敵な場所をもっと知りたい!そこで何か面白い事をやりたい!と考えていらっしゃるそうです。
「例えば、無人島でサバイバルゲームをしたり、水鉄砲で思いっきり撃ち合いをしたら楽しそうじゃないですか?」
「自分が楽しいと思うことを企画し、地域の人達と一緒になって楽しみ、その結果長門市が元気になり、沢山の人に長門市の良さを知ってもらえたらいいなと思っています。」
そう話す津田さんの目は少年のようにキラキラと輝いていました。
地方だからこそ出来ることがある。~これから移住される方へのメッセージ~
「いくつになっても新しいことにチャレンジできると思うんです。」
「自分が何をやりたいのか、どんな風に生きていきたいのか、人生の上で一番大事にしたいものは自分にとって何だろうか、一度立ち止まってゆっくり考えてみるのも良いのかもしれません。そんな時は旅行がてら是非長門市に遊びに来てください。ゆっくり温泉に浸かって、長門の海・山の幸を堪能してください。その時はTukTuk Cafeでもお待ちしています!
長門市はやりたいことを形にしやすい”まち”だと僕は思います。何かにチャレンジしたくて、自分の進む道を模索しているのなら、僕のように”地域おこし協力隊”から始めてみる道もありかもしれません。都会のように切磋琢磨して生きていく事も大切かもしれませんが、無理してまで、自分が苦しい思いをしてまで頑張らなくてもいいと思うんです。」
「自分が自分らしく生きてける、今の自分が僕は大好きです。」
トゥクトゥクカフェ 隠れ家店 (TukTuk Cafe)
山口県長門市仙崎1899番地
営業時間:[月~木] 11:30~15:00(水曜日のみ17:00まで営業)
※土日は移動販売車のみの営業となります
定休日:金曜日
詳細はこちらから→facebookページ(https://www.facebook.com/tuktukcafe.nagato)
インスタグラム→(https://www.instagram.com/tuktuk_cafe_nagato/?hl=ja)